ご挨拶
本協会は、大学・短期大学(以下、大学)教育における大学と社会をつなぐ実務教育の必要性を訴え、全国に先駆けて1973年に設立され、以来、社会のニーズを踏まえた教育を幅広く展開できるように、実務教育の普及に努めてまいりました。 |
代表理事・会長 森 征一 |
資格取得課程は「学ぶ」と「働く」をつなぐ架け橋となるものです。学びに求められるのは主体性です。学生は将来のキャリアを見据えながら資格を選択して必要な知識・技能を学ぶとともに、自分の職業適性を知ることもできます。そしてそのことがまた学びを見直す機会になって成長を遂げ、それによりビジネスの世界で人生を主体的に切り拓いていくことができる自律的な職業人に育つのです。
このような人こそいま社会が求める実務知識・技能を身につけ、人間の潜在力を活かして結果を出すことができる実務者です。
卒業後3年以内の離職率高止まりの問題が長く未解決のままとなっていますが、それは教育と仕事がうまくリンクしていないことが一因と思われます。就きたい職業について学んできた人がその職業に就いて働くのなら仕事に誇りを持てますし、何よりも学びの証しである資格を取得できたという達成感は、日本の若者に最も欠けていると言われる自信にもつながります。
(2)学生に主体的な学びが求められるのであれば、教員にはそれを支える「教え」が求められます。本協会では、主体的な学びを促す教職員の職能開発のために、まず「能動的学修の教員研修リーダー講座」、「FD教職員実践研究会」を始めました。ついで、学生が、実務で活躍してきた人でなければ分からない経験知を学ぶことができるように、社会人を対象に「大学実務家教員養成講座」を開講しました。そしてさらに、主体的な学び、支える教えという教育目標を達成するために、大学には全体的に建学の精神を踏まえた管理運営が求められることになるので、その責任を負う大学の教学運営に関わる管理者を対象にした「教学マネジメント実践講座」を今年度から開講することにしました。
(3)本協会は、実務教育を確かなものにするための基盤となる実践研究が不可欠と考えています。実際に働く中で資格教育がどのように役立っているのかを含めて、教員が卒業生の社会体験を共有することは、今後の実務教育のあり方を考える上できわめて有益と思うからです。そこで本協会は卒業生の生の声をきくために、大学教職員連携の「地域の卒業生等社会人の就業力向上交流会」や大学連携による「こども音楽を担当する教員研修会」のネットワークを構築して活動を行っています。
また、本協会は「会員校等代表者交流会」、「産業界関係者と協会の意見交換会」、「文部科学省等と協会の定例交流」等を開いて、産学官3者の関係性の構築を図るとともに、協会事業につながるテーマについての意見交換を定期的に行い、時代の変化に対応する資格の開発やリニューアルをはじめとする協会事業の改善に役立てています。
以上、本協会が現在取り組んでいる事業を概略ご説明させていただきました。これまで本協会事業に対する皆様のご理解とご支援をうけて、本協会は、およそ50年という長い歴史を歩み続け、現在、会員校数は180校余り、認定資格は23種に及び、資格授与数もこれまで65万人に達する実績をもつ、大学・短期大学を会員校とする、わが国における最大の資格授与団体に育ちました。今後も、事業を一つ一つ誠実かつ着実に実施していくつもりですので、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
2021年6月
代表理事・会長 森 征一